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ヒロロ? 初めて知った植物 ②

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「すかり」  ほとんど石油製品素材で編み込まれる




会津学研究会のレポートから転載します。
とても勉強になるレポートでした。レポート:菅家博昭(会津学研究会代表)さんによる



ヒロロのような山地に自生する草を採取し、軒下等で干し、天井裏に保管し、
縄を綯う、撚る、という作業は主に冬期間に屋内で行われた。 

樹皮の繊維を利用する技術、多年草の草をそのまま利用する技術など、
現在でもその数は少ないながら、人びとは山との関係を保っている。

また記憶の深部に、人びとが若かりし頃、
それはとても貧しかった日々の記憶でもあるが、
山から草を採取したことは容易によみがえる。 

野の獣や鳥、、、ヤマドリや野ウサギが
冬場に沢の雪の消え間で採餌した植物のひとつとして
このヒロロは猟師の記憶にも残っている。

ヒロロは、山に棲む生きものを
雪一面の冬に支えた常緑の植物のひとつでもあった。

 

標高730mの、福島県昭和村大岐の集落の周囲での
ヒロロ(ミヤマカンスゲ)の自生地を観察してみると、

水が流れる沢の付近の木立の中であり、
水が流れるくぼみの岸の土手のような場所にある。

春先には雪解け水では根株が水に一部洗われるような場所だけれども
夏場は冠水することが無いような
沢の床よりも50センチくらい高いような場所で
腐葉土が堆積した上に根を上流から下流に伸展したかたちで群生している。


根は10センチほどあるが
地下茎(根)と地上部の接点の少ししたに白い根が数本出ている。
主根は上流側に向かって(あるいは斜面上方に向かって)伸びている。
雪に押されても雪解け後に起き上がるような
根曲がりの樹木と同じような生え方である。


この観察している区の1メートル四方のヒロロを
2008年6月8日に数えてみると、150株ほどあった。
それが幅六十センチほどの古い道の踏み跡に沿って道幅で群生している。
しかし藪で日照がほとんど無いような場所には株は無い。
地上部が半日陰のような、上空が見えるような隙間の場所の下にはびっしりと密生している。
 

新葉が10センチほど伸び、花茎も立ち先端部の雄小穂と、
そのしたの雌小穂二から三個あった。
茎元の基部は暗赤褐色である。

根は腐葉土の上に横たわったように自生しているが、容易に根ごと引き抜ける。
葉にはトゲなどは無くざらつくこともなく、しなやかである。
昨年伸びたであろう濃緑色の古葉の長さは30から40センチメートルほどである。
中心の新葉は淡緑色で長さは十五センチほど伸びていた。














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by tabilogue2 | 2015-12-07 11:13 | 会津学 | Trackback | Comments(0)