「真の」ホワイトアウト 体験談

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横道にそれるが、例えば「ホワイトアウトの中、銀嶺を進んだ」という記述が 某ブログにあったとします。。。

んが、、、ホワイトアウトという状況を書き手は知らずにいるなぁ…、”ガスに捲かれた程度” を想像でホワイトアウトという「言葉」を書いてる、使ってみたいのかな?この人…と 書き手の心理を探っちゃうし、冬山の経験度合いに関しても ピン!ときてしまう。

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「真の」ホワイトアウトというのは・・・? 
自分の目先は勿論、自分の足元も、手も、隣にいるはずの仲間も全てが見えない天候状態を言うわけで、実のところ「進めない」「歩き出せない」というのが「真の」ホワイトアウトという状況です。なので先述の「ホワイトアウトの中、銀嶺を進んだ」という件りはその厳しい「現実を知らない」矛盾に満ちた記述ということになります。


何故、進めないのか・・・?
理由は、ミルクの中に居るという表現がピッタシ。平衡感覚を奪われ、一歩踏み出すごとに宇宙遊泳する、自分の正常な意志とは関係なく、雪の斜面に倒れてしまう状況になるからであり、悲しい事故を招くからである。


「真の」ホワイトアウトに遭遇すると・・・?
「まっすぐ立ったはずなのに」「意志とは無関係に」「眩暈がしたように」身体が斜めになって 重いザックを背負ったまま、特に斜面の下方に向かって「頭から」ダイブして バッタバッタと倒れ込むことになる。何をしようとも鉛直に立てない。まるで酩酊状態、立ち上がろうとして 跪く間にもズッデーンと反対側に倒れてしまう。酒に酔った経験のある方なら分かるはず。

頭から深雪に突っ込んだ者もいた。姿勢を立て直そうと 通常では考えられない方向に立とうとする。通常なら「反る」「反り返る」という言葉があるが本人は鉛直と思われる方向にビンと立とうとする、傍から見れば仰け反るように。本人は真っ直ぐに立つつもりで 反対側に頭からズッデーン!と倒れる。本人はそれで正常に直立しようとしたのである。頭から突っ込んだのは予期せぬ結果だ。傍から見れば異常だと見えるだろうが、本人は正常に戻すためにわけもわからず前転後転し もがき続ける。

実際にスキーは停止している。が・・・本人はまだ滑っている感じがしている、既にスキーは停まっているのだが頭の中は滑ってる。本人が脳内で停まったと思いきや 身体だけが慣性の法則?のようにズッデーン!と倒れてしまう。しかも大袈裟に。 その様を「ホワイトアウトの渦中」とでも云おう。もがけばもがくほど 体力を消耗する。覚えておくとよい。


「真の」ホワイトアウトで行動するのは危険だ!
理由は、以上のことによる「体力消耗」と「疲労凍死」。 一瞬 ガスがとれて 視界が効いてくると・・・ おや!?そんなところで そんな恰好で(笑) ザックを捨てて? 必死に雪風呂でもがく? 天地逆さまになった男たちがゴロゴロバタバタしてる・・・面白い光景が見れちゃうわけだな ( ´艸`) 人間は視覚から入る情報で 姿勢(垂直、水平)を得て、保っている ということがこのことから判る。


脱出方法を教えよう、、、
「ホワイトアウトの渦中」から脱出するには 濃密な白の世界に 例えば一本のロープを投げること。 ロープがない場合は 真白な斜面に飛び出している小枝のたった一本でも見つけること。冷静さが大事!たったそれだけ! 視覚から情報が入ることで直ぐに平衡感覚をとり戻せる。これも覚えておくとよい。実際これで幕営地まで前進できた。皆一様にホワイトアウトを実体験し、渦中のもどかしさなど話の花が咲いた。

ついでだが・・・赤いロープは雪面に投げると黒く見える、青いロープも黒く見える。蛍光ピンクは???何が言いたいのかというと・・・明るい色のロープは雪とのコントラストが悪いので効果的ではないということを思い出したので追記しておく。

山岳会なら、冬山に行く際には20mほどのロープをハンマーに結んで リーダーが秘かに用意している。雪稜を攻めず、山スキーオンリーの会もあるので何とも言えぬが いずれリーダーは覚悟して臨んでいる。ホワイトアウトの際には コンパスで定めた方向にハンマーを投げながら前進するわけだ。何故、ハンマーなのか って?、 そりゃぁ 冬山の烈風をたっぷり味わうとお分かりになりますよ(笑) 


過去に、「山スキーばかりに興じていると山を見失うよ」と言ったのは、「雪山の本来の姿」を味わおうよ という意図からだった。

基本、自然の恐ろしさに立ち向かうには GPSなどのデジタル機器の効力だけでは補えきれないもの。生温かい無風の日、濃霧が発生するということを予測できるかどうか? 午後から冷たい空気が入って温かい地上との間で濃密な霧が発生する って予測できるかどうか? その経験も含めて「判断」が生存のキーとなる。アナログ的な「判断」「経験」がものをいう。脱出か、停滞か、自分たちの居る高度や地形、体力、天候悪化の予兆などの要素で意思決定される。

ホワイトアウトか リングワンデリングか いずれかを経験すると自然の怖さが分かってくる。つまり雪山に臨む覚悟が違ってくる。 月山、八幡平、どちらでも味わってきた。どちらかというと 平坦地形で危険に遭いやすい。まあでも稜線歩きでも遭遇する。飯豊や朝日の幅の広い稜線上でもホワイトアウトになるから。


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さぶさん の体験談を転載します

Commented by さぶ at 2016-02-26 19:18 x
ホワイトアウトは一度だけ3月の安達太良山の山頂直下で体験しました。乳白色に包まれ雪面と空間の境が見えずスキー板がぼんやり確認できる状況で、滑っているのか止まっているかも分からずめまいがして2度昏倒しました。いや、気がついたら雪をつかんでいたというのかな。 水平か垂直の基準が見えていないと、脳内信号が錯綜するのか三半規管が正常に働かないのですね。
上り下り4回目くらいのコースで谷の下まで様子が分かっていたので、斜滑降の角度を見当つけてゆるゆる滑り「峰の辻」へ誤差内につけました。
初めての場所では見通しが利くまで待たないといけませんね。ビバークの準備をして。



















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Commented by andanteeno at 2016-02-25 13:18
「真の」ホワイトアウト・・・
その状況を想像すると、身動きのできない恐怖感が伝わってきます (^^;)
低山でも条件が重なると、こういう状況があり得るのでしょうか?
Commented by tabilogue2 at 2016-02-25 14:36
> andanteenoさん
低山でも無くはないでしょうけど(笑)身動きとれないというのは・・・。ホワイトアウトと軽口を言ってる分には 何の恐れもないでしょう。でも実際になると 恐怖ですから言葉も出ない筈です。それによる怪我とか道迷いのビバークで低体温症とか 気象条件に死因、つまり副次的な因果があるかもしれませんね。

恐怖感・・・現実、現象を知らない、無知による不安というのがあります。よくよく冷静な判断を失う気象条件とは、登山者の心に影響しやすい要素ですね。尾瀬でも燧裏林道でガスに捲かれて遭難しちゃうくらいですからね。冷静さを失うというのは怖いですよね。

だから基本とか基礎とか 知識と実践とで それぞれの紐つけが大事になってくるんです。
そういう基本的なことを教えてくれる山岳会に入らないと これから先、時間を無駄にしますよ。一緒に 湿原ワンデリングしますか?
Commented by tabilogue2 at 2016-02-25 14:51
> andanteenoさん
あっ 思い出しました。海でも凪の状態で 濃霧に包まれたことがあります。
雪の田圃でも、水蒸気が朝晩の冷えで霧になりますから > 低山でもあるのでしょうね。
僕は低山に滅多に行かないから 他の人に聞いてみるしかないですが・・・。
by tabilogue2 | 2016-02-25 11:23 | mount | Trackback | Comments(3)