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「ダンコ平」と「ダンゴ平」・・・「 山の妙味」について考える ④

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仙台神室の「ダンコ平」が、最近は「だんご平」と濁って呼ばれる。
「ダンコ」より「だんご」のほうが親しみやすい、
安易に「だんご」が市民権を得てしまった。

さらに ネットでどんどん間違ったまま 
無制限に拡散されていく。
YMCA山岳会でも 歴史や史実に興味のない会員は「だんご」と呼ぶ。
私自身も いちいち面倒なので
相手を選んで諭すように話していた。

ネット伝播が真実味を帯びるようになると
「無理が通らば道理ひっこむ」の喩えどおりになる。
民俗学的な「検証」が頭をひっこめてしまう恐れがあるので
きちんと解説しよう。

秋保・馬場の古老に聞き取り調査を行なった際、
「ダンコ馬」の言葉を採集したとある。
荷駄を「駄んこ」、それを運ぶ馬を「駄んこ馬」といっていたようで、
仙山の峠となる平らかな地に荷駄を一旦集めて、
荷繋ぎ中継所のようにしていた(駄んこ平)
というのが「民俗学的考察」であろうか。

「荷駄を駄んこと呼び、駄馬を駄んこ馬と呼んでいたことに依る」
と口語検証が深野稔生氏によってなされている(「神室岳」・深野稔生著)。

駄んこの「んこ」は
犬っこ、どじょっこ、女ごこ(メゴコ)、野郎こ(ヤロコ)、どろんこ
 語尾につけられた愛称。

いずれ「駄んこ平」が「段こ平」「段子平」「団子平」「だんご平」と変化するのは 
口語伝播の陥りやすい「罠」である。



歴史に興味を持ち、
地名と歴史との相関関係を紐解いてみようという気持ちがなければ、
否、山を単に「スポーツの対象」として観ているようでは、
「だんご」はいつ迄経っても「だんご」のままで終わる、
けして「駄んこ」にはならない。

世の不思議さに
何故?どうして?と振り返り見る観点を持たないと、
何事も「深く捉えることはできない」もの。


山を始めてから10年前後の方々の特徴だが・・・
50名山、100名山、それに飽きると200、300・・・と 
横っ飛びにピークハントする。

「山」を深く味わおうとしない、
上辺だけのネット情報、ハウツー登山情報を求め、
それをコピーし鵜呑みにする。
これは、、、便利なネット情報、ガイド情報、トレース情報に
たむろする「ネット民」の共通点であり、
「他人の登山情報」を疑わない「コピー登山」指向の典型である。

ネット情報という他力情報を「疑わずに絶対視」し済ませる、
さらに引用先を明示すれば
「引用文の責任は自分にあらず」と意思表示したのと同じで 
こんなところにも 
責任を取らずに済ませる
ネット民たちの「軽さ」が現れ出ている。

いつまで経っても「山の妙味」に縁遠い存在である自分自身に気づかず 
今日も横っ飛びに山に向かうことになる。




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by tabilogue2 | 2017-07-28 01:10 | アラカルト | Trackback | Comments(0)