カテゴリ:丁山地( 1 )

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ルートは「流心」にあり。
大沢川水無大森 奥の二股・右8m滝をリードするヤスダ




朝の冷えで布団から出られず、少しストレッチしてから?寝床から起き上がろうと脚を伸ばし始めたのだが・・・その時、右脚のふくらはぎを攣ってしまってw その筋肉の痛みがひどくて 参った。少し治るまで暇をもてあましながら 昔の沢登りの記録を眺め返していた。その中から あまり見かけない流域の遡行記録をアップしようかな?。。。

手始めに「丁山地」の大沢川について、、、真室川方面から丁へのアプローチ記録はあまり見かけない。明神も石蓋狩もどちらも面白い沢だというのは 夏合宿以前に踏破し解っていたことだが、さらに追加で、秋田側のヒノト沢、最上町側の明神も石蓋狩りも大沢川も夏合宿で遡行する!と決定した。この本流大沢川も明神沢・石蓋狩沢に負けじ劣らじ、私の興味心をおおいにくすぐってくる沢だ。

それにしても丁の沢がこれほど面白いとは・・・。じつはこの年、朝日からの転進後だった我々の誰もがヒノト流域を知らなかったのだ。強いて言うなら、標高500mほどの「出羽丘陵」に秘かに数年通っていた安田ぐらいか? 出羽丘陵といえば、胎蔵山の北面、円能寺の集落からわずか30分ほどで中野俣川流域に入るのだが オシメ、オスギ、小滝、矢櫃、四熊の各沢は標高200から300m程度の沢だ。だがそれでいて登れない滝が数段あって苦労した。中野俣峡谷といわれる、魚止森(ゆどもり)、弁慶、シナゾ、オオワラソ、トヤソ森から発する流域は侮れない、我々の知らない滝が潜んでいるということだ。とはいえ各沢、各滝には既に先人から名称が与えられているものばかり、人跡未踏でないことだけは確かだ(笑)。おまけにジャブジャブ、浅瀬に追えば 手ごろな岩魚が手づかみで獲れたものだ。

(遡行図も記録も どちらかというと簡素に書くタイプなのだが けっこう興奮気味で書いているw)



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鉛筆書きの遡行図。 昔はこれで普通・・・。





一日目
入渓して2時間、明神沢との渓相の違いに圧倒された。左右の壁は迫り、しかも漆黒だ。初見参での精神的な動揺が沢を一本とり違えるというミスを誘った。冷静であるなら 三滝の左沢(三滝沢)まで途中右岸から2本の沢が入るという地形図上の事実が、全くすっ飛んでしまった。それほど明神沢との違い、抱き続けてきたイメージとの違いが 大沢川にはあったのである。

さて、三滝沢の左であるが、この沢は登りに100m以上の滑滝が多段状に連続するというコンターの間隔が混む様が特徴である。明神沢や石蓋狩沢の詰め部分、800m付近にあるコンター間隔の違いがこの沢にも散見できる。

最初の滝からBP(ビバークポイント)手前の「木登りの滝」(倒木が滝にかかっている)まで、何が起きるか・・・?緊張の時間がどんどん過ぎて、精神的には初めての沢ということもあって 久しぶりに疲れを覚えた。一旦、奥の二股は左を詰めて野営し、明日、三滝沢奥の二股の右へ移動しようと決定。濡れた木々を集め野営の準備だ。今夜の食当は佐野さんだ。

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大沢川随一、 桂の巨木


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二日目
100m以上のナメの連弾は40分ほどの滑滝側面の簡単な薄い藪漕ぎで逃れることができたが、このままいけば三滝山右沢の下りも相当の覚悟で臨まないと「やばい」というもの。案の定、下り部分も20mほどの中型滝の連続で、下降に4回もロープを出すほどであった。こんな小さい山の、こんな短い沢なのだが 標高500m以下になるまでは安心できない。その点は隣の明神沢と同じである。

二泊目のBPを読み間違えてしまった。これには いろいろな要素がからむが・・・ 次から次とこなさなければならない滝の多さに時間が無くなる 焦りもあったか?と推測する。おまけにパーティの足並みに差があり、疲れきった阿部の遅さと 夕暮れ前の野営適地を探す時間との勝負という兼ね合いもあったのではなかろうか?大沢川本流に右から入る沢を一つ見過ごしてしまった。そこにはすでに地形図上の水無大森に突きあがる二俣なのに、C430地点の右から入る沢と読み違えたことである。佐野さんでも こんなことがあるのだ。それほど休めぬ「滝の連続」と「アブの猛襲」とで神経戦は凄まじいものがある。

今夜の食当は安田。タラコスパゲティ、ワサビをきかせたクリームスパゲティ、辛さの程よいペペロンチーノ 三種だったがどれも旨かった。 いつのまにか 野外料理にも腕を発揮するまでになったなぁ と感心。聞けば・・・スーパーの輸入食材コーナーにも通っているらしい。輸入食品は添加物規制が厳しく、日本製より安全だという。



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三日目
おかげで 翌三日目は地形図上の沢筋と現実の沢、地形との符合に苦しんだ。二度も「進んでは戻る」を繰り返したのである。BP地点の読み違えが原因であると気づけば、すべてがパズルのように解けていく。地形図を読んで進む我々がミスった唯一は、右から入るはずの小沢を「見落とし」たこと。それさえ納得できれば歪んだ顔にも笑みが戻る。

水無大森右俣の奥の8m滝は いやらしかった。安田の踏ん張りでスリップの恐怖から逃れることが出来たが、あと一歩が出ないというのも辛い。セカンドで自分が登って安田を補助しようとしたが、安田の視線の先には居座るガマガエルが・・・。なるほど、、、安田はじっと我慢してガマが移動するのを待ち続けていたのである。突っつけば落ちてしまうガマを安田は無理な態勢を承知で待っていたのである。下から見ている我々には分かりもしない気苦労がトップを引くものにはある。それにしても「安田は 成長したなぁ」と頼もしく思う、彼のそんな心理面に出合えた。

水無大森の北東面下降は大滝の連弾である。できるだけ藪懸垂をし時間を稼ぐが、6mから30mまで6回も懸垂を強いられた。最後の滝は、落ち口から下がまるで見えず 補助ザイル25mを繋いでも足りないんじゃないかと臆病風に吹かれまくった。先頭交代で無事に降りきったが ザイルの継ぎ目でエイト環の付け替えがあり、落ち口の真上でその処理をしなければならない。これで、、、阿部が失敗したらどうしようかと考えている最中、案の定 彼はエイト環の保持に使っていたカラビナの細ひもをメインザイルに絡めてしまって立ち往生。さらにメインザイルをキンクさせてしまった。

いつも 何かかんかやらかすなぁ、困った男だ。下降前だから良かったけど・・・、もしこれで下降中だったらヤツは宙吊りだ。落ち口のテラス上で 泣きそうにコチラを窺い見る阿部の心細そうな顔が印象的だった。傍まで行ってテンションのかかったロープの撚りをほぐし 絡み合ったザイルをほどいてあげた。彼は この合宿後も朝日の小桧原川で滝壺墜落・宙吊りザイル切断事件を起こすのであるが、何度も同じミスを繰り返す彼には「退会勧告」がだされそうだ。

すべての日程を終え、最後の25m滝を眺めながら昼メシ・素麺の準備に入った。大根おろしを擦り、ワサビを食器に分けて白石温麺をいただいた。沢沿い右岸に杣道があり それを辿って大平野営場に向かった。各パーティとも既に到着しており焚火の準備が為され、我々の着到を待っていた。

3泊目となる最後の夜。4パーティ16名が大平野営場に集まり、打上げとなる。満足の酒飲みである。各パーティから「オラホの滝自慢」が始まった。賑やかな打上げだ。こんな酒飲みの夜も阿部はシュラフに入らず、沢装備姿でタープから外れて眠ったまま。夜露にあたるから…と周りが面倒を見て、クタクタの彼をテントに押し込んだ。


夏合宿の企画に際し この大沢川ルートを提案して臨んだのであるが、3日間通してロングなこのルートを大いに楽しもうとして臨んだ。50代初めの夏に いい汗をかかせていただいた。 仲間に感謝したい。
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三滝山 三滝右沢を懸垂下降する


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水無大森の最後の25m滝 ビルの8階ほどの高さ

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水無大森の18m滝 


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by tabilogue2 | 2015-12-10 11:45 | 丁山地 | Comments(0)